字幕づくり 第8回


今回は "Shakira" の "Hips Don't Lie (feat. Wyclef Jean)" に挑戦。




美しく、聡明で、才気に溢れ、セクシー。
世界中の誰もがシャキーラを好きだと信じています。


 


- Lyrics -


Ladies up in here tonight
No fighting, no fighting
We got the refugees up in here
No fighting, no fighting

Shakira, Shakira

I never really knew that she could dance like this
She makes a man wants to speak Spanish
Como se llama (si), bonita (si), mi casa (si, Shakira Shakira), su casa
Shakira, Shakira

Oh baby when you talk like that
You make a woman go mad
So be wise and keep on
Reading the signs of my body

And I'm on tonight
You know my hips don't lie
And I'm starting to feel it's right
All the attraction, the tension
Don't you see baby, this is perfection

Hey Girl, I can see your body moving
And it's driving me crazy
And I didn't have the slightest idea
Until I saw you dancing

And when you walk up on the dance floor
Nobody cannot ignore the way you move your body, girl
And everything so unexpected - the way you right and left it
So you can keep on shaking it

I never really knew that she could dance like this
She makes a man want to speak Spanish
Como se llama (si), bonita (si), mi casa (si, Shakira Shakira), su casa
Shakira, Shakira

Oh baby when you talk like that
You make a woman go mad
So be wise and keep on
Reading the signs of my body

And I'm on tonight
You know my hips don't lie
And I am starting to feel you boy
Come on lets go, real slow
Don't you see baby asi es perfecto

Oh I know I am on tonight my hips don't lie
And I am starting to feel it's right
All the attraction, the tension
Don't you see baby, this is perfection
Shakira, Shakira

Oh boy, I can see your body moving
Half animal, half man
I don't, don't really know what I'm doing
But you seem to have a plan
My will and self restraint
Have come to fail now, fail now
See, I am doing what I can, but I can't so you know
That's a bit too hard to explain

Baila en la calle de noche
Baila en la calle de dia

Baila en la calle de noche
Baila en la calle de dia

I never really knew that she could dance like this
She makes a man want to speak Spanish
Como se llama (si), bonita (si), mi casa (si, Shakira Shakira), su casa
Shakira, Shakira

Oh baby when you talk like that
You know you got me hypnotized
So be wise and keep on
Reading the signs of my body

Senorita, feel the conga, let me see you move like you come from Colombia

Mira en Barranquilla se baila asi, say it!
Mira en Barranquilla se baila asi

Yeah
She's so sexy every man's fantasy a refugee like me back with the Fugees from a 3rd world country
I go back like when 'pac carried crates for Humpty Humpty
I need a whole club dizzy
Why the CIA wanna watch us?
Colombians and Haitians
I ain't guilty, it's a musical transaction
No more do we snatch ropes
Refugees run the seas 'cause we own our own boats

I'm on tonight, my hips don't lie
And I'm starting to feel you boy
Come on let's go, real slow
Baby, like this is perfecto

Oh, you know I am on tonight and my hips don't lie
And I am starting to feel it's right
The attraction, the tension
Baby, like this is perfection

No fighting
No fighting


 



※今回のポイント※

めっちゃ大変でした。
スペイン語部分はお決まりのフレーズが多くて簡単なのですが、
肝心の英語部分がもう……。




Ladies up in here tonight
No fighting, no fighting
We got the refugees up in here
No fighting, no fighting


"up in here" って聞き馴染みありませんよね?
これは砕けた言い方で "in here" と同じ使われ方をします。
「じゃあ "in here" でいいじゃん!」と思いますが、
どこの国でも若者言葉って、必要な部分を抜いちゃったり、
余計なものを足しちゃったりするもんなんでしょうね。

"refugee" は「難民・亡命者」ですので、直訳は
”今夜ここに女たちがいる
 争うな 争うな
 我々はここに難民を受け入れた
 争うな 争うな”

これを分かりやすくしていきましょう。
"refugee" という単語が入っているため、
反戦の歌だと勘違いしてか「戦争はなしだ」
みたいな訳をしている人も多いですが、見当違いです。
(暗喩ではあるかもしれませんが) 

こういう場合は、情景を想像してみます。

ここは世間から隔絶された、アンダーグラウンドな盛り場。
札付き、流れ者……客は社会からつま弾きにされた男ばかり。
しかしその夜は違った。
その場には似つかわしくない、美しい女たちがドアを叩いたのだ。
そう、まるで外側の世界から亡命してくるように。
色めき立つ男たち。熱狂。
その時、そこを仕切っている男が声を上げた。
「野郎ども!暴れんじゃねえぞ!!」

どうですか?
こう考えると自然ではないでしょうか?
その設定で字幕をつけていきます。

”レディーのお出ましだ
 喧嘩すんなよ
 美しき亡命者だ
 今夜は揉め事なしでいこう”




hips don't lie

タイトルにもなっているこの言葉。
この曲、日本発売時には「オシリは嘘つかない」という
あまりにひどい邦題をつけられてしまいました(泣)

もっと悲惨なのは、邦題に引っ張られて
この部分をまともに訳そうという人が少ないことです。
ここを勘違いしているために、直接的で下品な訳が多すぎます!

"hip" は確かに「お尻」のイメージがありますが、
日本人が考える「お尻」は "buttocks" とか "bottom" とか、
ちょっと下品ですが "ass" なんかもよく使われます。
大して "hip" は「腰」のイメージに近いんです。

米米クラブの曲で "Shake Hip!" ってありますけど、
「尻を振れ!」よりも「腰を振れ!」がしっくりきますよね?

そういうワケで、「オシリは嘘つかない」ではなく、
”腰つきは正直“
と訳した方がスマートです。
ダンスがテーマの曲ですしね。
何よりセクシーだと思います。




All the attraction, the tension
Don't you see baby, this is perfection

後半は簡単ですよね。
でも、前半部分の "All the attraction, the tension" に、
みなさん苦労しているご様子。
「すべてのアトラクションも緊張も」みたいな訳が多いです。

では、まず単語の意味から調べてみましょう。

attraction:呼び物、アトラクション、(吸)引力、魅力
tension:緊張、緊迫、伸張、張力、電圧

歌詞の中でわざわざ並べて使っているということは、
お互いが対になっていると考えるのが自然でしょう。
となると候補は、「引力」と「張力(引っ張る力)」しかありません。

同じように考えて、この「引力」と「張力」を使っている訳も
中にはあるのですが、これだけだと意味が分かりません。

翻訳の際に最も重要なのは、語彙以上に想像力だと思っています。
この曲の登場人物たちは、いったい何をしているのでしょう?
そう、盛り場でダンスに興じているんです。
であれば、この「引力」と「張力」というのが、
ダンスで相手を「グッと引きつける動作」だとすぐに分かります。
ですから、次のように字幕を付けました。

”引き寄せられたり
 引き寄せたり
 わかるでしょう?
 ほら完璧よ”

これで二人がいまどんな風に踊っているのか、
読んでいる人にもすぐにイメージが伝わります。
同時に、これが男と女のかけひきであることも。

わかるでしょう?
ほら完璧よ。




She's so sexy every man's fantasy
a refugee like me back with the Fugees from a 3rd world country
I go back like when 'pac carried crates for Humpty Humpty
I need a whole club dizzy

ラップパートの一部。
なんだかワケの分からないことがいっぱい書いてありますね。
実際、こういう客演の部分は「賑やかし」みたいなもので、
大したことを言ってない場合が多いんです。
その上に言葉の量だけはやたらとあるので、
「ニュアンスだけ伝われば良いかな」という感じで訳します。

なにせ、向こうの音楽シーンに慣れ親しんだ人だけが
「ああ、これは○○のことだな」って分かるような書き方なんです。
例えば、「志村けんの下積み時代」って表現するのに、
「殿がチョーさんの鞄を持っていた時」と書いてるような感じです。
外国人だけじゃなく、日本の若者でもチンプンかんぷんでしょう?

だから、説明的なことはせずに字幕をつけます。

”彼女はすげえセクシーで
 俺たち第三世界からの難民には
 まるで夢物語さ
 "2Pac"が駆け出しの頃のように
 俺も大人しく引っ込もう
 もっとクラブを騒がせなきゃな”

かなり簡潔にしましたが、本当にこんな内容です(笑)

毎回のことですが、矢継ぎ早に繰り出されるラップを
うまく字幕に落としていく作業が一番キツい。
いっつも悩まされています。



さて、前回の "Story Of My Life" の時もそうでしたが、
曲中に何度も印象的に使われるフレーズをどう扱うか。
これこそが腕の見せ所です。

今回は "No fighting" がそれにあたります。
シンプルな言葉だけに、うまく表現したいですよね。

この曲の最後を飾るのは、
シャキーラ自身による "No fighting" の一言。
ここをどう訳したのか?
ぜひお確かめください。




いやぁ、字幕って本っ当に難しいもんですね。
ではまたお会いしましょう。

 






↓ 今回の曲はコチラ ↓


Shakira - Hips Don't Lie







収録アルバム
Oral Fixation 2
Shakira
Sony
2006-03-28