字幕づくり 第9回


今回は "Avicii"  "Aloe Blacc" の "Wake Me Up" に挑戦。



いいですよね。
何時間でも踊り続けられます。

ビデオもいい感じ。 





- Lyrics -


Feeling my way through the darkness
Guided by a beating heart
I can't tell where the journey will end
But I know where to start

They tell me I'm too young to understand
They say I'm caught up in a dream
Well life will pass me by if I don't open up my eyes
Well that's fine by me

[2x]
So wake me up when it's all over
When I'm wiser and I'm older
All this time I was finding myself
And I didn't know I was lost

I tried carrying the weight of the world
But I only have two hands
Hope I get the chance to travel the world
But I don't have any plans

Wish that I could stay forever this young
Not afraid to close my eyes
Life's a game made for everyone
And love is the prize

[2x]
So wake me up when it's all over
When I'm wiser and I'm older
All this time I was finding myself
And I didn't know I was lost

Didn't know I was lost
I didn't know I was lost
I didn't know I was lost
I didn't know (didn't know, didn't know)







※今回のポイント※

この曲、単語も言い回しも文法も、
これと言って難しい部分がないんですよ。
曲調も「たたみかける系」じゃないので、
文字数にもある程度余裕があります。

では早速やってみましょう。




Feeling my way through the darkness


"feeling ones way through" はひとかたまりで、
「手探りで進む」というイディオム。
覚えておいて損はありません。




They tell me I'm too young to understand
They say I'm caught up in a dream


"be caught up in ○○" は「○○に囚われる・夢中になる」
だから直訳すると
”彼らは私に「理解するには若すぎる」と言う
 彼らは「私が夢に囚われてる」と言う”

これは周りの人たちが自分に向かって言ってるワケですね。
なら、ここは思いっきり口語的に訳しても大丈夫でしょう。

”「ガキにはまだ分からないんだ」
 「夢ばかり見て」と誰も言う”





All this time I was finding myself


"all this time" は「今まで」という意味。
だからそのまま
”ずっと自分を探していたんだ”と訳せます。






I tried carrying the weight of the world
But I only have two hands


ここ、悩みました。
でも、文章自体は難しくないですよね?
”世界の重さを運ぼうとした
 でも俺にはふたつの手しかない”

じゃあ何が問題かというと、
以前やった "OneRepublic - Counting Stars"
http://waya-q.blog.jp/archives/22292729.html
と同様に、暗喩がありそうな感じがしたんです。

これを意訳するならば、
”すべてを一人で背負い込もうとした”
みたいにもできます。

でも、なんでわざわざ "weight" なんて使ったんだろう?
"I tried carrying the world" じゃダメだったんだろうか?

そう考えると、どうしても "weight" に何かが込められて
いるような気がしてなりません!

もしかしたら
”世界の重荷(抱えている諸問題)を、自分一人で引き受ける”
みたいな意味もあるんじゃないだろうか?

でもそれは、結局ひとつの解釈でしかないんですよね。
そういうことを訳に乗っけちゃうと、ただの押し付けです。

こういう場合、自分はどうするのか。
「字幕は受け手にとって、思考の補助線であればいい」
そう考えるようにしています。
解釈は受け手に任せればいいんです。

だから、曲の作り手が言葉に込めた想いを壊さないよう、
あえて直訳で字幕を付けました。






Hope I get the chance to travel the world
But I don't have any plans


冒頭の "Hope" は "I hope" を省略しただけです。
それから、高校の英語の授業みたいになっちゃいますが、
"any + 可算名詞の複数形" は、否定文において、
「少しの~も(…ない)」という意味になります。

ですから直訳は、
”世界を旅する機会が欲しいと望んでいる
 だけど、ちっともそんな予定はない”

これをちょっとだけ変えて……

”世界を旅したいと夢見ているけど――
 見通しは立っていない”






Life's a game made for everyone
And love is the prize


簡単なので、まずは直訳します。

”人生は万人のために作られたゲーム
 そして、愛はその景品(商品)だ”

まあ意味は分かります。
でも愛を「景品」とか言うのは気が引けます。
かといって「ご褒美」ってのもねえ……。
「褒章」……うーん、堅い。

ここはもうガッチリと意訳しちゃいましょう!

”人生というゲームに参加資格はいらない
 勝ち取るのは愛さ”




今回は、あらためて字幕作成の難しさを痛感しました。
もっと良い言い回しを思いついても、字数を削るために諦める。
こういうシンプルな歌詞の方が、不完全燃焼感が強いです。

前回の "Shakira - Hips Don't Lie" なんかは、
「やりきったー!」という達成感があったのですが(笑)

今回は曲のノリの良さと、ビデオの良さに助けられた感じです。




普通に聴けば「大人になんかならなくてもいい」「分別くさい人間になんかなるもんか」
という内容ですが、逆に「もう大人にならなくちゃ」とも捉えることができます。
また、その両方に対しての「葛藤」とも取れます。
ここらへんの微妙なニュアンスを変えないためには、
あんまり意訳をしない方が良いと考えました。

ビデオも印象的です。
街の人たちが二人を嫌っているのは、そこが「大人の世界」だから。
そして「おさげ髪の少女」は「大人側になった自分」「目を覚ましてしまった自分」
そういうメタファーのように感じますが、みなさんはどうでしょうか?

あの少女たちがどこに向かい、どんな結論を出すのか、色々と考えてしまいます。




いやぁ、字幕って本っ当に難しいもんですね。
ではまたお会いしましょう。








↓ 今回の曲はコチラ ↓


Avicii, Aloe Blacc - Wake Me Up




Wake Me Up
Universal Music LLC
2014-02-16



収録アルバム
TRUE
Avicii
Island
2013-09-17


初回限定盤(日本盤ボーナス・トラック付)
トゥルー(初回限定盤)
アヴィーチー
ユニバーサル ミュージック
2014-01-22