字幕づくり 第10回


おかげさまで早くも10回目となりました。
記念に今回は "P!NK" の "Raise Your Glass" を。



すべてのマイノリティー、そしてハミ出し者のアンセム。
以前取り上げた "Fuckin' Perfect" と同様のテーマを持ちながら、
まったく違う作品に昇華されています。
姐さんの懐の深さを感じさせますよね。




- Lyrics -

Right, right, turn off the lights
We're gonna lose our minds tonight
What's the deal, yo?
I love when it's all too much
5 a.m. turn the radio up
Where's the rock 'n roll?

Party crasher, panty snatcher
Call me up if you're a gangsta
Don't be fancy, just get dancy
Why so serious?

[Chorus]
So raise your glass if you are wrong
In all the right ways, all my underdogs
We will never be, never be anything but loud
And nitty, gritty, dirty, little freaks
Won't you come on and come on and
Raise your glass!
Just come on and come on and
Raise your glass!

[Verse 2]
Slam, slam, oh hot damn
What part of a party don't you understand?
Wish you'd just freak out
(Freak out already)
Can't stop, coming in hot
I should be locked up right on the spot
It's so on right now
(It's so fucking on right now)

Party crasher, panty snatcher
Call me up if you're a gangsta
Don't be fancy, just get dancy
Why so serious?

[Chorus]
So raise your glass if you are wrong
In all the right ways, all my underdogs
We will never be, never be anything but loud
And nitty, gritty, dirty, little freaks
Won't you come on and come on and
Raise your glass!
Just come on and come on and
Raise your glass!
Won't you come on and come on and
Raise your glass!
Just come on and come on and
Raise your glass!

[Bridge]
Oh shit! My glass is empty
That sucks!

So if you're too school for cool
(I mean)
And you're treated like a fool
(You're treated like a fool)
You can choose to let it go
We can always, we can always party on our own

[Chorus]
So raise your (oh, fuck)
So raise your glass if you are wrong
In all the right ways, all my underdogs
We will never be, never be anything but loud
And nitty, gritty, dirty, little freaks

(So raise your glass if you are wrong)
So raise your glass if you are wrong
In all the right ways, all my underdogs
We will never be, never be anything but loud
And nitty, gritty, dirty, little freaks
Won't you come on and come on and
Raise your glass!
Just come on and come on and
Raise your glass!
Won't you come on and come on and
Raise your glass for me!
Just come on and come on and
Raise your glass for me!
For me






※今回のポイント※

"P!NK" の歌詞は独特の言い回しや言葉遊びが多く、
難しい反面、とても楽しい作業となります。



What's the deal, yo?


"deal" は「取引・契約・状況・事態」など色々な意味があります。
この "What's the deal?" は定番フレーズで、
「どうなっているんだ?」とか「どうしたんだい?」「何かあった?」
という使われ方をします。






Party crasher, panty snatcher


"Party crasher" ってなんでしょうか?
他の訳者さんも悩んでるっぽいですね。

実はコレ、
「パーティーに招待されていないのにやって来るヤツ」なんです(笑)
海外だと、よく有名人のパーティーに関係ない人が潜り込んでいて
その事が問題になったりしてるんですよ。

でも、日本だとあんまり馴染みがない言葉ですよね。
だから文字数が多くなりますけど、最初だけ解説っぽくします。
”パーティーに紛れ込むヤツ
 パンティー泥棒するヤツ”

一度意味が分かれば、後は「音」として楽しんでもらえばいいので、
二回目以降は、
”パーティークラッシャー
 パンティースナッチャー”
そのまま字幕を付けることにしました。







Call me up if you're a gangsta


「あなたがギャングスターなら私に電話して」
ここの "gangsta" が、実際の「ギャング」かどうか。
当然「ワル」という捉え方もできますが、
「ギャングっぽい服装をしているヤツ」という意味も。
じゃあ、そこは明瞭にしないで訳してみましょう。

”電話ちょうだい
 イケてんならね”







Don't be fancy, just get dancy



"fancy" は「想像・空想・夢」色々な意味があります。
また、転じて「豪華」とか「おしゃれ」的な使われ方をします。
この場合はどうでしょうか?
後者の方がしっくりきそうですね。

でも待ってください。
イギリス英語では、「選ぶ」「選り好みする」という意味も持ちます。
つまり、「選り好みしない」というニュアンスも含まれているかも?

そこを踏まえて、次のように訳します。

”シャレてなくても
 踊れりゃいいわ”







Why so serious?


直訳すると「なにそんなに真面目になってるの?」
「なにそんな深刻になってるの?」ですが、
ここは口語調で行きましょう。

”なにカタくなってんのよ”

あと、逆説的に

”肩のチカラ抜きなよ”

と言い換えることもできるので、
字幕ではこの二つを使い分けます。







So raise your glass if you are wrong
In all the right ways, all my underdogs


タイトルでもある "raise your glass" は、
取りも直さず「あなたのグラスを上げろ」
イコール「乾杯しよう」なワケです。

"In all the right ways" は直訳すると、
「全ての正しい道にいる」。

"all my underdogs" の "underdog" は、
「敗者」や「虐げられている人」という意味がありますが、
ここはそのまま「負け犬」にしましょうか。
そうすると、直訳は「全ての私の負け犬たち」となります。
でも、ここは "my" をどう扱うかが腕の見せ所です。

”間違っているなら乾杯しよう!
 正しき道にある
 愛しい負け犬たちよ”








Slam, slam, oh hot damn


"slam" は「強く叩きつける」という意味ですが、
「激しくぶつかり合うダンス」という意味も含まれています。
そのくらい盛り上がってると捉えることもできますね。

"hot damn" は、ご想像通りスラングです。
「超すげえ」「超やべえ」といった感じでしょうか。

”踊れ 騒げ
 マジ最高!”







I should be locked up right on the spot


"be locked up" は「拘束される」、
"right" は「すぐ」の意味合い、
"on the spot" は「ここで」となると…

”わたしを現行犯逮捕すべきね”







if you're too school for cool
And you're treated like a fool


今回、最大の難所はここでしょう。

"too ○○ for △△" は「△△するには○○すぎる」
イコール「○○すぎて△△できない」という表現です。
でも、この歌詞に当てはめてみると意味が分かりませんよね?
そもそも「学校すぎる」ってなんだよ。

他の訳者さんも四苦八苦している様子が分かります。

こういう場合、ちょっと視点を変えてみましょう。
実はこの部分こそが、"P!NK" 特有の言葉遊びなんです。
"cool" と "school" を入れ替えてみますね。

"too cool for school"
「学校に持っていくにはオシャレすぎる」

キャッチコピーみたいなもんです。
会社名やブランド名にもなってたりします。
これをもじったんですね。
では、この反対のイメージで訳してみましょう。

”あんた チャラつくには真面目すぎ
 それじゃ バカみたいに扱われちまうよ”

"cool" を「カッコつける」にしようか、最後まで悩みました。
でも、この場合の "cool" は、
「世間の流行に流されるだけで主体性のない、浮っついた連中」
という皮肉が込められているように感じたんですね。
「キョロ充」になんかならないで、自分らしく行けと。


人と違うことを誇ろう!
周りと違う自分たちに乾杯しよう!!
そういうエール。

「変わってたっていいじゃない」と前向きになれます。





いやぁ、字幕って本っ当に難しいもんですね。
ではまたお会いしましょう。







↓ 今回の曲はコチラ ↓


P!NK - Raise Your Glass




レイズ・ユア・グラス
Sony Music Japan International Inc.
2014-04-13




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