字幕づくり 第13回


今回は "Ke$ha" の "TiK ToK" に挑戦。



2009年発売のデビュー曲。
そして全米をはじめ、多くの国で1位を記録。
彼女のメジャーシーンへの登場は衝撃的でした。

今さら訳す必要もない気がしたのですが、
前回の "Moves Like Jagger" とジャガーつながりで。







- Lyrics -


Wake up in the mornin' feelin' like P-Diddy (hey what's up girl)
Grab my glasses I'm out the door I'm gonna hit the city (let's go)
Before I leave brush ma teeth with a bottle of Jack
'Cause when I leave for the night I ain't comin' back

I'm talking pedicure on our toes toes
Trying on all our clothes clothes
Boys blowin' up our phones phones

Drop top and playin' our favorite CD's
Pullin' up to the parties
Tryna get a little bit tipsy

[CHORUS]
Don't stop, make it pop
DJ, blow my speakers up
Tonight, Imma fight
'Til we see the sunlight
TiK ToK, on the clock
But the party don't stop no
Whoa-oh oh oh
Whoa-oh oh oh

Don't stop, make it pop
DJ, blow my speakers up
Tonight, Imma fight
'Til we see the sunlight
TiK ToK, on the clock
But the party don't stop no
Whoa-oh oh oh
Whoa-oh oh oh

Ain't got a care in world, but got plenty of beer
Ain't got no money in my pocket, but I'm already here
Now, the dudes are lining up cause they hear we got swagger
But we kick em to the curb unless they look like Mick Jagger

I'm talkin' bout - everybody getting crunk, crunk
Boys tryna touch my junk, junk
Gonna smack him if he getting too drunk, drunk
Now, now - we goin' 'til they kick us out, out
Or the police shut us down, down
Police shut us down, down
Po-po shut us - (down)-man

[CHORUS]
Don't stop, make it pop
DJ, blow my speakers up
Tonight, Imma fight
'Til we see the sunlight
TiK ToK, on the clock
But the party don't stop no
Whoa-oh oh oh
Whoa-oh oh oh

Don't stop, make it pop
DJ, blow my speakers up
Tonight, Imma fight
'Til we see the sunlight
TiK ToK, on the clock
But the party don't stop no
Whoa-oh oh oh
Whoa-oh oh oh

[BRIDGE]
DJ, You build me up
You break me down
My heart, it pounds
Yeah, you got me
With my hands up
You got me now
You got that sound
Yeah, you got me

You build me up
You break me down
My heart, it pounds
Yeah, you got me
With my hands up
Put your hands up
Put your hands up

Now, the party don't start 'til I walk in

[CHORUS]
Don't stop, make it pop
DJ, blow my speakers up
Tonight, Imma fight
'Til we see the sunlight
TiK ToK, on the clock
But the party don't stop no
Whoa-oh oh oh
Whoa-oh oh oh

Don't stop, make it pop
DJ, blow my speakers up
Tonight, Imma fight
'Til we see the sunlight
TiK ToK, on the clock
But the party don't stop no
Whoa-oh oh oh
Whoa-oh oh oh







※今回のポイント※


彼女の特徴の一つに「語り」っぽいラップがあげられます。
その雰囲気とリズムを崩さないために作ったら、
初の字幕 100行 超えを果たしてしまいました(笑)

しかし、彼女は見た目や歌詞の内容とは違い、
その音作りはかなり正統派だと思います。
だから、フレーズが1秒ごとにビシッ!ビシッ!と決まり、
実は入力作業がかなり楽でした。
最初にしっかりとタイミングを合わせると、
次回からはいちいち映像で確かめないでも良いんですよ。
コンマ1秒まで毎回同じになりますから。







Wake up in the mornin' feelin' like P-Diddy


"P-Diddy" ていうのは、有名な音楽プロデューサーです。
これは無理に説明しても伝わらないし、
何より文字数が足りないのでそのまま行きます。


”朝 目が覚めたら
 気分は "P・ディディ" "








Grab my glasses I'm out the door I'm gonna hit the city


"grab" は「ひっつかむ」。
"gonna hit the city" の "gonna" は "going to" の事で、
「これから~するつもり」「~するよ」。
"hit" は口語で「着く」とか「達する」みたいな感じですね。

直訳すると、
「サングラスをひっつかんで、ドアの外に出て、街に行くつもり」
これを字幕用に短くします。

まず、外出するなら「ドアの外に出る」のは当然なのでカット。
「ひっつかむ」も長いし、「街に行くつもり」は雰囲気が出ない。
そこで、次のような字幕にしました。


”サングラス 片手に
 街へ繰り出そう"








Before I leave brush ma teeth with a bottle of Jack


"bottle of Jack" はお酒好きならピンとくると思いますが、
「ジャック・ダニエル」の事ですね。
バーボン、正確に言うならテネシー・ウィスキーの銘柄。
ロック・ミュージシャンが愛飲しているイメージがあります。
「ミック・ジャガー」とかね!


”その前に
 歯磨きするの
 ジャック・ダニエルで"








'Cause when I leave for the night I ain't comin' back


良く出てくる "ain't" は
"are not,is not,has not,have not" の縮約形です。

"leave for" は「旅立つ」とか「向かう」とか。

では直訳すると、
「だって、夜に出かけたら、帰りたくない」
これをもうちょっと変えましょう。


”だって
 夜遊びに出たら
 帰りたくないし!"








I'm talking pedicure on our toes toes
Trying on all our clothes clothes
Boys blowin' up our phones phones


ここは最初の部分でみんな躓きます。
"talk" と "pedicure"(ペディキュア) が、
頭の中で上手く繋がらないんですね。

こういう場合は、状況を想像してみましょう。

彼女は出かける準備をしているんです。
もう約束の時間は迫ってきている……。

では、字幕にしてみましょう。


”「ペディキュア塗らなきゃ」って独り言
 ある服 みんな引っ張り出して…
 催促の電話が 鳴る 鳴る"










Drop top and playin' our favorite CD's
Pullin' up to the parties
Tryna get a little bit tipsy


"Drop top" は「屋根を下ろす」。
じゃあ何の屋根かと言えば「オープンカー」です。

"Pullin' up to the parties"
ここは多くの訳者さんが誤魔化した部分ではないでしょうか?
"Pulling up" はそのまま「引き上げる」事なんですが、
みなさん「パーティーに着いたら」とか訳しています。

"tipsy" は「酔う」なんですけど、
"drunk" が「泥酔」のイメージなのに対して、
こちらは「ほろ酔い」といった感じです。

さて、ここも先ほどと同じように想像力を働かせてみましょう。

道中、わざわざオープンカーの屋根を開けるワケです。
そして、お気に入りのCDをかけます。
何のため?
周りに大音量で音楽を聴かせるため。
そして、会場に着く前にもうお酒も入れて、
パーティー用のテンションに気持ちを盛り上げたいんです。


”オープンカーで
 好きな音楽を鳴らす
 パーティー用にアゲてこう
 ちょっと酔っとこうかな"









Don't stop, make it pop
DJ, blow my speakers up
Tonight, Imma fight
'Til we see the sunlight
TiK ToK, on the clock
But the party don't stop no


サビの部分は特に難しい所はありませんね。

"blow my speakers up" は、
「私のスピーカーを吹き飛ばせ」みたいな意味ですが、
つまりは「もっと爆音でお願い」って事です。

"TiK ToK, on the clock" は「時計がチクタク言ってる」。
ここは、歌に合わせて「チクタク」を先に持ってきましょう。
そうすると、"on the clock" の部分をどうするかです。

これはどうしても「時計が鳴る」ってやりたいですよね。
ちょっとひねっても「針が鳴る」でしょうか。
でも、会場は「爆音」なワケですから、
時計の音なんて聞こえるはずがありません。

そこで、次のようにしてみました。


”ヤメないで
 ハジケさせて

 DJ! もっと爆音で
 今夜は ―
 戦うわ
 日が昇るまで

 チクタク
 針が刻んでも
 パーティーは終わらないの"









Ain't got a care in world, but got plenty of beer
Ain't got no money in my pocket, but I'm already here
Now, the dudes are lining up cause they hear we got swagger
But we kick em to the curb unless they look like Mick Jagger


"plenty" は「豊富」「多量」「たくさん」「十分」

"line up" は「並ぶ」

"dude" はもともと「しゃれ者」みたいな意味があるんですけど、
今では "man" の意味でも "woman" の意味でも使います。
単に「人」とか「奴」みたいな感じですかね。
ここでは単純に「男」の意味で良いと思います。

"swagger" は「いばって歩く」とか「傲慢な歩き方」
みたいな意味でしたが、最近の若者の間では意味が違っています。
主にファッションとかセンスの「良さ」や「魅力」、
そんな感じで使われてるんですね。

"kick em to the curb" の "em" は "them" の短縮形。
"curb" は車道と歩道を仕切る「縁石」です。
つまり「縁石の方に蹴るよ」と。

これらを踏まえて訳してみましょう。


”心配事なんてないけど
 ビールならいくらでも

 持ち合わせはないけど
 もう来ちゃったし

 ほら 男達が列をなしてるわ
 イケてるって聞いたのね

 でも 蹴り出しちゃうよ
 ミック・ジャガー似じゃなきゃね"










I'm talkin' bout - everybody getting crunk, crunk
Boys tryna touch my junk, junk
Gonna smack him if he getting too drunk, drunk


"crunk" は "crazy + drunk" で、
ドラッグやお酒でハイになる「ラリる」みたいな造語。

"junk" は以前 に"All About That Bass"
http://waya-q.blog.jp/archives/23866627.html
でもやりましたが、スラングで「お尻」を表します。
"junk in the trunk"(胴体の余分な部分?)から来ていて、
「(女性の形のいい)お尻」や「(男)性器」
の意味で使われているようです。

"smack" は「ぴしゃりと打つ」なんて意味があります。
まあ「平手打ち」ですね。

さて、これらを踏まえて字幕にしていきますが、
"crunk" と "drunk" が対比するように出て来ます。
どっちも酔っ払っているんですよね。
でも、同じ言葉は使いたくないです。

"smack" も「平手打ち」じゃつまんないですよね。

ここは一つ頑張って、頭の引き出しを開けてみましょう。


”みんな かなり出来上がってきたわね
 やたらとお尻を触りたがるの
 泥酔ヤローにゃ 一発かますわ"









DJ, You build me up
You break me down
My heart, it pounds
Yeah, you got me
With my hands up
You got me now
You got that sound
Yeah, you got me


"build ○○ up" は「○○を期待させる」
"break ○○ down" は「○○をガッカリさせる」
そんな意味もありますが、ここは素直に
「盛り上げる」と「切なくさせる」が良いと思います。

"pound" は「強く叩く」=「ドキドキする」

"hands up" は「両手を上げる」ですが、
この場合は違う意味を持っていますね。

"you got me" は「一本取られた」「やられた」
そんな感じで良く使われます。


”ねえ DJ
 盛り上げたり
 切なくさせたり

 ずっと ドキドキ
 させられっぱなし

 もう 降参よ
 ヤラれたわ
 あなたの音に
 ヤラれたの"









Now, the party don't start 'til I walk in


直訳するならば、
「私が(会場に)やって来なければ、パーティーは始まらない」
これを音楽に合わせ、決め台詞っぽくするとこうなります。


”私が来なきゃ
 始まらない"





曲のノリや歌詞のニュアンスを壊さない字幕になったと思います。
コチラから確認してください。





いやぁ、字幕って本っ当に難しいもんですね。
ではまたお会いしましょう。






↓ 今回の曲はコチラ ↓


Ke$ha - TiK ToK




ティック・トック
Sony Music Japan International Inc.
2013-10-23



収録アルバム
Animal
Kesha
RCA
2010-01-08



1st+2ndアルバム、2枚がオールインワンでお得