字幕づくり 第32回


今回は "One Direction" の "Drag Me Down" に挑戦。





ご無沙汰しています。
そして "Directioner" のみなさん、お待たせしました。

根拠のない噂や憶測が飛び交い、様々な問題に揺れた "1D" 。
そんな彼等が、支えてくれるファンに向けて放つ力強いメッセージ。
それがこの曲だと捉えています。









- Lyrics -


I've got fire for a heart
I'm not scared of the dark
You've never seen it look so easy
I got a river for a soul
And baby you're a boat
Baby you're my only reason


If I didn't have you there would be nothing left
The shell of a man who could never be his best
If I didn't have you, I'd never see the sun
You taught me how to be someone, yeah


All my life
You stood by me
When no one else was ever behind me
All these lights
They can't blind me
With your love, nobody can drag me down


All my life
You stood by me
When no one else was ever behind me
All these lights
They can't blind me
With your love, nobody can drag me down


[Chorus:]
Nobody, nobody
Nobody can drag me down
Nobody, nobody
Nobody can drag me down


I got fire for a heart
I'm not scared of the dark
You've never seen it look so easy
I got a river for a soul
And baby you're a boat
Baby you're my only reason


If I didn't have you there would be nothing left (nothing left)
The shell of a man who could never be his best (be his best)
If I didn't have you, I'd never see the sun (see the sun)
You taught me how to be someone
Yeah


All my life
You stood by me
When no one else was ever behind me
All these lights
They can't blind me
With your love, nobody can drag me down


[Chorus:]
Nobody, nobody
Nobody can drag me down
Nobody, nobody
Nobody can drag me


All my life
You stood by me
When no one else was ever behind me
All these lights
They can't blind me
With your love, nobody can drag me down


All my life
You stood by me
When no one else was ever behind me
All these lights
They can't blind me
With your love, nobody can drag me down


[Chorus:]
Nobody, nobody
Nobody can drag me down
Nobody, nobody
Nobody can drag me down

Nobody, nobody
Nobody can drag me down
Nobody, nobody
Nobody can drag me down










※今回のポイント※


ご覧の通り、同じフレーズの繰り返しです。
ただ訳すだけなら、作業量が少なくラッキー。
でも、これを字幕にして動画に乗っけると間延びしちゃう。

一見楽そうに感じるも、意外に悩ましいパターンです。

そして、「なぜ同じフレーズの繰り返しなのか?」
ここら辺も汲み取りながらやってみたいと思います。







I've got fire for a heart
I'm not scared of the dark
You've never seen it look so easy
I got a river for a soul
And baby you're a boat
Baby you're my only reason


"You've never seen it look so easy"
「あなたが今まで見た事がないくらい、すごく簡単そうに見える」
ここは「この上なく簡単なハナシ」と意訳しました。

"you're my only reason" はお馴染みの言葉。
直訳すれば「あなたは、私の唯一の存在価値」となりますが、
「君こそが 俺の生きる意味」にしました。


" 心に 火が灯る
 暗闇なんて恐れない

 この上なく 簡単なハナシ

 魂に 川が流れてる
 そう 君は船
 君こそが 俺の生きる意味 "







If I didn't have you there would be nothing left
The shell of a man who could never be his best
If I didn't have you, I'd never see the sun
You taught me how to be someone, yeah


"The shell of a man"
"shell" は「貝殻」ですよね。
この単語は文字通りの「殻」から転じて「固く閉ざす」
そんな風に使われることがあります。
反面、「見せかけだけ」みたいなニュアンスも。
どちらにしても、精神的にマイナーな状態に使われます。
今回は「抜け殻」という風に訳しました。


"If I didn't have you, I'd never see the sun"
「あなたがいなかったら、私は太陽を見ることもなかった」
長いので短くしましょう。
"If I didn't have you" は、直前にも出ているので省略。
「そして、陽も昇らなかったよ」


"You taught me how to be someone"
今回はここが一番のポイント。
「君が "someone" になる方法を教えてくれた」

"someone" と聞けば「誰か」という訳が真っ先に浮かびます。
でも、冠詞なしの "someone" は一味違います。
辞書で調べると「ひとかどの人物」などと書かれているんですね。
もしくは「いっぱしの人」「一人前」とか。
もっと突っ込むと「優れた(人物)」にもなります。

何か引っかかるモノを感じました。
少し考えて、ある考えに思い至ったのですが、
それを短い字幕で表現するのには、まだまだ力不足です。

幸い、このパートも繰り返されるので、
1回目と2回目で、訳を分けることにしました。



" 君がいなきゃ 何ひとつ残らない
 ベストを尽せぬ 男の抜け殻さ
 そして 陽も昇らなかったよ

 君が導いてくれたんだ "










All my life
You stood by me
When no one else was ever behind me
All these lights
They can't blind me
With your love, nobody can drag me down


"no one else was ever behind me"
「自分の後ろに誰もいない」=「応援してくれる人がいない」

"nobody can drag me down"
「誰も "drag me down" できない」
タイトルでもある "drag me down" は「足を引っ張る」
「引きずり落す」そして「墜落させる」という意味です。
次のように訳しました。



" いつだって ―
 そばには君が
 一人の味方も いない時でさえ

 どんな "光" にも ―
 目は眩まない
 愛があれば ―
 誰も 俺を堕とせない "






Nobody, nobody
Nobody can drag me down
Nobody, nobody
Nobody can drag me down


" 誰にも ―
 誰にも できやしない
 そう 誰にも ―
 俺は堕とせない "









ここからは、ひたすら繰り返しになります。
後半に向うにつれて、少しずつ訳を変えて盛り上げます。
最後は少し意訳して「仮想敵」を作っちゃいましたが、
そこらへんはご愛嬌ということで。




" 心に 火が灯る
 暗闇なんて恐れない

 この上なく 簡単なハナシ

 魂に 川が流れてる
 そう 君は船
 君こそが 俺の生きる意味



 君がいなきゃ 何ひとつ残らない
 ベストを尽せぬ 男の抜け殻さ
 そして 陽も昇らなかったよ

 君が "男" にしてくれたんだ



 いつだって ―
 そばには君が
 一人の味方も いない時でさえ

 どんな "光" にも ―
 目は眩まない
 愛があれば ―
 誰も 俺を堕とせない


 誰にも ―
 誰にも できやしない
 そう 誰にも ―
 誰にも俺は ・・・


 いつだって ―
 そばには君が
 一人の味方も いない時でさえ

 どんな "光" にも ―
 目は眩まない
 愛があれば ―
 俺は堕ちない



 いつだって ―
 そばには君が
 一人の味方も いない時でさえ

 どんな "光" にも ―
 惑わされはしない
 愛さえあれば ―
 俺は堕ちないさ!



 誰だって ―
 誰にだって できやしないさ
 そう 誰だろうと ―
 俺を堕とすなんてな


 そう ヤツらには ―
 ヤツらには できやしないのさ
 俺たちは 堕とせないぜ

 そう 誰にだってな "









最後に、さきほどの "someone" についての解説を少し。

考えたんです。
"You taught me how to be someone" に込められた意味を。

「この曲は、彼等がファンに向けて放つ力強いメッセージ」
記事の冒頭にそう書いたのは、この "someone" があったからです。

それは、同じフレーズがひたすら繰り返される理由にも繋がります。
つまり、彼等が今この瞬間に伝えたいことが、
この短いフレーズに全て詰まっているということに他なりません。



「俺たちは、どこにでもいるただのガキだった」
「でも、こんな俺たちの歌を愛してくれる人がいる」
「君(ファン)のおかげで、"1D" になれたんだ」
「だから君がいる限り、俺たちは迷わない」
「もう、誰に何を言われようが気にしない」
「君がいてくれるなら、俺たちはずっと "1D" であり続けるよ!」


そんな彼等の声が聞こえたような気がしました。
みなさんはいかがでしょうか?




いやぁ、字幕って本っ当に難しいもんですね。
ではまたお会いしましょう。








↓ 今回の曲はコチラ ↓


One Direction - Drag Me Down







Drag Me Down
One Direction
Syco Music
2015-09-18

 


収録アルバム 
※近日発売予定(予約可)
メイド・イン・ザ・A.M.(デラックス盤初回仕様)
ワン・ダイレクション
ソニー・ミュージックレーベルズ
2015-11-13



メイド・イン・ザ・A.M.
ワン・ダイレクション
ソニー・ミュージックレーベルズ
2015-11-13