字幕づくり 第41回


今回は "Years & Years" の "Eyes Shut" に挑戦。



暗示的な映像、強烈な歌詞。
ズッシリときました。

たまにはこういう曲もアリ?







- Lyrics -

Throw your heart to me
Let it fall and hit the ground
Let it go
Your timing was so wrong
I just want to be found

And Ooh...
And I…

Yeah, I've got the lines
I've got the lines

Oh it's brighter this time
This type of mine
This disguise
Oh you talk, ooh, to me

Well, nothing's gonna hurt me with my eyes shut
I can see through them
I can see through them
I am drawing pictures I'm evading
I will not use them
I will not use them
Again

And it starts again
You come over with your friends
I don't wanna talk to them
And all I really want
Is to start again

And Ooh...
And I…

Yeah, I've got the lines
I've got the lines

Oh it's brighter this time
This type of mine
This disguise
Oh you talk, ooh, to me

Well, nothing's gonna hurt me with my eyes shut
I can see through them
I can see through them
I am drawing pictures I'm evading
I will not use them
I will not use them

[2x]
'Cause I wanna be bigger than life
Hurt you
Hurt you

And nothing's gonna hurt me with my eyes shut
I can see through them
I can see through them
And I am drawing pictures I'm evading
I will not use them
I will not use them

No, nothing's gonna hurt me with my eyes shut
I can see through them
I can see through them







※今回のポイント※

ポイントと言うかですね、実は歌詞が確定してないんですよ(笑)
海外のリリック掲載サイトでも、マチマチなんですよね。

そこで、わやQが実際に聴いて、確かめて、コレっていうのに修正!

でも、ライブだと製品版と少し言葉が違ったりするので困りました。
製品版だと明らかに "and" なのに、ライブは "cause" だったりとか。
もしかして、歌詞ちゃんと覚えてなかったのかな?

とにかく、今回はMVの字幕用ということで、MVの音声準拠で行きます。



訳する時に注目したいのは、タイトルでもある "Eyses Shut" です。
"close" ではなく "shut" なんですよ。
"shut" って、かなり強い言葉ですよね。
"close" が「閉じる」なら "shut" は「閉めるっ!!」みたいなイメージ。

だから、この "Eyses Shut" を、ただ「目を閉じる」くらいに思っていると、
この曲の本質を掴み損ね、おかしな訳になってしまいます。
十分に気をつけて、しっかりとしたイメージをもって字幕を作りました。









Throw your heart to me
Let it fall and hit the ground
Let it go
Your timing was so wrong
I just want to be found


"Let it go"
あの映画で、日本でも「誰もが知る言葉」になりました。
ただ、実際には「放っておいて」「そのままにしておく」
そんな意味合いが強い言葉。
今回はこの言葉が主題ではないので、簡単に「諦めて」に。

この曲は、曲調とは裏腹にとても「ヘビー」です。
それが後半に向い、意味が分かっていくのがスリリング。
したがって、冒頭のこの部分は、あえてサラリと軽く訳します。
ここをあんまり工夫しても、後半で吹き飛んでしまいますから。



" 君の心を 僕に投げつけ ―
 そのまま 地面に落しなよ
 諦めて ・・・

 タイミングが悪すぎたね
 僕はただ 見つけて欲しいのさ "










And I…
Yeah, I've got the lines
I've got the lines


"the lines" は、この場合「台詞」のこと。
"had" ではなく "got" なので、「君から言われた言葉」でしょう。


" ああ そうだ ・・・
 君に貰ったね
 こんな台詞 "









Oh it's brighter this time
This type of mine
This disguise
Oh you talk, ooh, to me


これが先ほどの「君から貰った言葉」の部分。
「自分の言葉」と捉えていると、内容が破綻します。

"type of mine" は「自分のタイプ(好み)」

"disguise" は「偽装」
転じて「仮面」とも言い換えられます。



" 「ほら もっと明るく」
 「私の好みに」
 「この "仮面" を」
 君は言ったんだ ―
 いつも 僕に "









Well, nothing's gonna hurt me with my eyes shut
I can see through them
I can see through them
I am drawing pictures I'm evading
I will not use them
I will not use them
Again


"I am drawing pictures I'm evading"
「私は絵を描く。 そして私は逃げる(回避)」ではなく、
"I am drawing pictures (that) I'm evading"
つまり「逃げている自分を、絵に描いている」
コチラの方が自然でしょう。

ここはサビの部分になります。
主題の部分を掴んでいなくても、それなりに訳せますが・・・・・・
最初に言った通り "shut" の意を汲みます。
2回目の "not use" をあえて「開かない」にしておきます。
これが、後々で効いてきます。



" この目を閉じれば 僕は傷つかない
 閉じていたって ―
 全てを見通せるんだ

 逃れる自分を 描いてる
 もう 使わない
 もう 開かない
 二度と ・・・ "









And it starts again
You come over with your friends
I don't wanna talk to them
And all I really want
Is to start again


"it starts again"
「再び始まる」ですが、ウンザリ感を出すために
「また始まった」にしました。

"come over with" は「~を連れてやって来る」



" ほら また始まった
 君が 友達を連れて来る
 あいつらと 話したくない

 僕の望み それは ―
 やり直すことだけ "









And I…
Yeah, I've got the lines
I've got the lines

Oh it's brighter this time
This type of mine
This disguise
Oh you talk, ooh, to me

Well, nothing's gonna hurt me with my eyes shut
I can see through them
I can see through them
I am drawing pictures I'm evading
I will not use them
I will not use them



" ああ そうだ ・・・
 君に貰ったね
 こんな台詞

 「ほら もっと明るく」
 「私の好みに」
 「この "仮面" を」
 君は言ったんだ ―
 いつも 僕に


 この目を閉じれば 僕は傷つかない
 閉じていたって ―
 全てを見通せるんだ

 逃れる自分を 描いてる
 もう 使わない
 もう 開かない "











'Cause I wanna be bigger than life
Hurt you
Hurt you

'Cause I wanna be bigger than life
Hurt you
Hurt you


ここが、今回最大のポイント。

"Hurt you" ではなく "For you" と掲載しているサイトも多いです。
でも、明らかに "For you" とは歌っていないですね。
「え?じゃあ意味が通じないじゃん」と思う人もいるかも知れません。
それは、多分この曲の本質を掴み損ねているからだと思います。
今から解説していきます。

"'Cause I wanna be bigger than life"
"be bigger than life" は慣用句です。
「(実際よりも)立派に見られる(思われる)」
「身の丈より大きく見られる」という使われ方です。
主人公は「そうありたいから」と言っています。

そして "Hurt you" です。
「あなた(おそらく彼女)」を「傷つける」と言っているんです。

どういうことでしょう?

では、「君から貰った言葉」を思い返してみましょう。
彼は、どんな仕打ちを(精神的に)受けていましたか?
人間としても扱いは、「重かった」ですか?
それとも「軽かった」ですか?

いま彼は「現実よりも大きくありたい」と思っているんです。
それによって「君(彼女)を傷つける」んです。

そして、この曲で繰り返されるのは "eyes shut"
決して "close" ではなく "shut" ・・・・・・。

そこを踏まえ、次のように訳しました。



" だって "大きな存在" になりたいから
 君を傷つける
 心を痛ませる

 今よりも 君の中に居座って ―
 君を傷つける
 心を痛ませる "





勘のいい人なら、もうお分かりですね?
わやQは、この曲から強烈に感じ取ったモノがあります。

それは「死」のニオイです。


まるで所有物のように、彼女好みの人形を演じさせられる。
人格を無視するかのように、「仮面」をかぶせられる。
彼女の友達が来る度に、何度も何度も・・・・・・。

そして、彼は決意しました。
もう二度と自分の心が傷つけられない方法。
そして、彼女の中にずっと大きな存在で居続ける方法。
永遠に、彼女の心を苛む方法を・・・・・・。









And nothing's gonna hurt me with my eyes shut
I can see through them
I can see through them
And I am drawing pictures I'm evading
I will not use them
I will not use them

No, nothing's gonna hurt me with my eyes shut
I can see through them
I can see through them



" この目を閉じれば 僕は傷つかない
 閉じていたって ―
 全てを見通せるんだ

 逃れる自分を 描いてる
 もう 使わない
 もう 開かない


 もう傷つかないさ 目を閉じたから
 よく見えるよ
 何もかもが "









この解釈は、あくまでわやQの直感です。
もしかしたら、他の解釈もあるかもしれません。

みなさんは、どのように感じましたか?

 


いやぁ、字幕って本っ当に難しいもんですね。
ではまたお会いしましょう。










↓ 今回の曲はコチラ ↓


Years & Years - Eyes Shut




Eyes Shut
Universal Music LLC
2015-07-10



収録アルバム
Communion
Years & Years
Interscope Records
2015-07-10

 
収録アルバム(MP3)
Communion (Deluxe)
Universal Music LLC
2015-07-10